BABY×DOLL
彼女をTVで見ていた時はイメージを作ってるのかと思っていた。

本当の顔はきっと違うんだと決めつけていた自分がちょっと恥ずかしい。

人を見たままに受け入れられない…疑い深い自分。
そんなだから友達も居ないし、好きな人もなかなかできないの。

分かっていても性格はそう簡単に変えられないわ…




VIPが入院しても産婦人科は平和なもので皆ホッとしていた。

私も残業する事なく仕事を終わらせ、帰ろうとバックの中の携帯を見ると、メールが届いていた事に気付いた。

…誰からかなんて見なくても分かってる。

私にメールをくれるのは正己だけ。

無意識に心を弾ませながらメールを開く自分に、その時は気付かなかった。

彼らしい、端的な用件だけのメール。

『今夜10時に。場所は初めて一緒に飲んだバーで』

診察室じゃない…?

少し不思議に思った。初めて一緒に飲んだ場所は──もちろん覚えてる。

何かその場所に意味があるんだろうか?

あり得ない考えが頭をかすめるが、正己に限ってそれはないだろうと思い直した。

私達にはあり得ない話しよ…

ともかく了解したと正己に返信して、私は慌てて家に帰ってシャワーを浴びた。
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