BABY×DOLL
夜明けまでは少しあると思う。

あたしが思うに…病院の最寄り駅から始発に乗るのはヤバい気がするの。

要は東京駅で琉嘉に会えればいいんだから、真っ直ぐ行かなくったっていい。

そう思って、あたしは赤ちゃんをバッグに入れ、またファスナーを3/4閉めて立ち上がって歩き出した。

目的地は隣の駅。

そんなに遠くないって予め携帯で地図を調べておいた。
問題は…長い距離を見知らぬ人が歩いている事の違和感を

住んでる人に悟られないようにしなきゃいけない事。

目撃者は少ない方がいいに決まってる。

あたしは静かに、素早く歩かなきゃいけなかった。

あと…赤ちゃんが目を醒まして泣かないようにって、そればかり願っていた。

ずっとドキドキしてる…手足の感覚がないのに、身体が動いているのが不思議だ。

あと数時間…神経を集中させなきゃ!

出来るだけ道を選んで歩き続け、40分かけて隣の駅に着いた。

こんなに歩けるなんて思わなかった!
今まで車での送り迎えばかりだったし友達もいなかったから遊びにも行かなかったし、

運動もしなかったから無理かも?って思ってたのに…

自分で自分に感心して
あたしは電車の切符を買いに行った。
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