BABY×DOLL
「はい」

坂本さんが返事をする。だけど、電話をかけに事務所に行こうとした坂本さんを正己が止めた。

「いや、待て。森島さんには俺から説明すべきだな。それから…夜勤明けの皆には悪いが警察が来るから残って話しをするように」

「…わかりました」

こうなってしまえば、ただ一人帰るわけにはいかない。

セリカ…ゴメン。
すぐには行けそうもないよ。

どうにか途中でメールでも出来ればいいんだけど…携帯は手元にないし無理っぽい。

東京駅で私を待ってないで、セリカが機転をきかせてマンションに向かってくれる事を願うばかりだった。

セリカの方も心配だったけど───私の方がヤバいかもしれない。

警察に何か聞かれたり…やっぱりするよね?

ドキドキしてきた。

だって私が犯人なんだもの!

上手に嘘つかなきゃ。いや…嘘ってよりは何も知らないフリをすればいいんだわ。

廊下で正己に会った事は…そういうのは正直に言った方がいいのかな?

少しでも嘘をつけば、辻褄が合わなくなった時、嘘を上塗りするはめになる。

小さな嘘はやがて大きな嘘に変わってしまう。後で自分が困るはず…

あくまでも『知らない』って事にしなきゃ
< 205 / 408 >

この作品をシェア

pagetop