BABY×DOLL

ただでさえ、この病院は注目されやすいのに！

有名人が多く利用していたからマスコミが来る事なんて、日常茶飯事だったけど

『えんじぇる★ベッド』が出来てからは、しばらく世間を賑わせていたし…

子供を入れるあのポストは、子供を置きに来た母親に配慮して見えにくい場所に設置されているが

しばらくすると、病院の周りはマスコミが張り付くんじゃないかと思うの。

そうなったら、龍之介をあの中に入れる事も、この病院にたどり着く事も出来なくなるんじゃないの？

龍之介を返す手立てがなくなる！

警察を呼んでいるから…森島に連絡を取るのは危険すぎるし。

あ～もう！
何で予想通りに物事が進まないの！
計画を練り直さなきゃならないじゃないの！

私はイライラしながら帰り道を急いだ。

駅のホームで電車を待つ間に、セリカから電話がかかってきた。

「もしもし？」

『あっ！琉嘉！今、ケータイのニュース見てたら誘拐事件の報道してるみたいなの！ねぇ、どういう事?!』

さすが…今はニュースが早い！

私はバカみたいに感心していた。

「…病院はマスコミでいっぱいだったわ」

『何でバレたの!?誘拐事件って報道しないんでしょ？』