BABY×DOLL
「て、手帳!?あたしの?」

あたしは慌ててバッグの中身を確かめた。

彼の言う通り…あの手帳がない。

『そう。ホームで落としたらしいんだ。電車が発車してしまってから僕も気付いて…』

「…中を見たの?」

あたしの質問に彼が申し訳なさそうに答えた。

『ゴメン…最初はキミのだと思わなくて。でもダメだよ、手帳に携帯書いてちゃ』

「う、うん…」

そうか、それで番号わかったんだ。
それは分かったけど…

『さすがに住所は書いてなかったからさ、手帳取りに来てくれないかな?』

「取りに?!」

『そう、だって大事なものなんだろ?僕が届けてもいいけど…それじゃ困ると思って』

彼は素直に手帳を返してくれる気なんだ。
悪い人じゃないかも…って思いながら、それでも警戒しつつ、あたしは取りに行く事にした。

「駅に取りに行けばいい?」

『駅でいいけど…人が多いとマズイんじゃないのか?』

「気を使わなくていいわよ。ちゃんと変装していくから」

『'変装'…ねぇ。まぁいいや。来られるようなら午後三時頃にしてくれないかな?』

「どうして?」

『僕の仕事が終わる時間だから。少し話ししようよ?』
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