BABY×DOLL
窓の外に流れる景色も涙で滲んで見えない。

「とりあえず次の駅で降りよう。時間平気ですか?」

あたしは軽く頷いた。今は声が震えそうで出せなかった。

「こんなに泣かせたままじゃ帰せないし…どこかで落ち着くまで」

あたしは否定も肯定もしなかった。
その反応で、とりあえず'yes'だと彼は思っただろう…

あたしも泣きながら街中を一人で歩く勇気もない。
それなら、誰でもいい。一緒にいてくれるなら。

ほどなくして乗っていた電車は次の駅に着いた。

彼が勤めている駅よりはるかに大きな駅…
人もたくさんいた。

「あ、ココか!人が多すぎるな…どうします?違う駅にしましょうか?」

あたしも迷ったけど…

「いい、降りる…」

ココじゃ落ち着かない。それなら外に出たいし、他に静かな場所を見つけたい。

あたしと彼は扉が閉まる直前にホームへと降りた。

人々に紛れて改札を出る。あたしは他の人に泣いてるのを見られたくなかったから、ずっと下を向いていた。

外へ出たけど…やっぱり人が多い。

彼も落ち着ける場所を色々と考えていたようだったけど
しばらく歩いて申し訳なさそうに言った。

「ホ…ホテルでもいい…ですか…?」
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