BABY×DOLL
「…………え!?」

あたしは聞き間違えかと思って聞き返した。

彼はもう一度言う。

「ホテル…の方が落ち着けると思ったんです。喫茶店なんかだと話しを他の客に聞かれるかもしれないし…公園とかもないし」

「ホ、ホテルって…」

「あ、別に何もしませんよ!絶対にしませんから!
ほ、ホラ、あそこのホテルが目に入って…そしたらもうあそこしかない!って思っちゃって!他に浮かばないんですよっ!」

彼は慌てていた。
あたしも、どうしたらいいのかわからない…

好きな人や、付き合ってる人以外とホテルって…行ってもいいのかな?

何だかやましい事してる気がするんだけど、確かに彼の言う通り他人に聞かれたくない。

いや…そもそも話してしまう気はないんだけど

彼と話しをすると、まだ泣いてしまいそうだった。かと言って、すぐに帰れる状態じゃない。

泣いて帰ったりしたら琉嘉に変に思われるし、嘘がバレるとヤバいと思った。

落ち着くまでよね?

ほんの少しの時間でいいの。
何もなかったような顔をして帰りたいから。

「やっぱり帰りますか?」

「い、いいよ。あのホテルに入ろう」

「え」

「少しの時間だけど…」
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