BABY×DOLL
「い、いいんですか?」

彼は自分で提案したくせに躊躇っていた。

一度決めると、あたしはすぐその気になる。途中で止めたり…とかしないの。

「いいよ。嫌ならそう言うから」

「わかりました…」

あたしは彼についてホテルに入っていった。そのまま彼は慣れた感じで選んだ部屋まで迷わずに入る。

あたしは部屋の中にあったソファに座ると、彼は冷蔵庫を開けた。

「水でも飲みますか?」

そう言ってボトル入りの水を渡された。

「…ありがとう」

「落ち着いたら言ってください。僕は何も聞きませんし、ここから一歩もキミには近づきませんから」

そう言って彼は、あたしが座っているソファからかなり離れた場所に行き

床に座りこんだ。

しばらくあたし達は会話もなく沈黙が続き…


やがてあたしの涙が止まってきた頃、あたしは彼に声をかけた。

「…床の上じゃ痛いんじゃないの?」

「別に…とは言えないですね。ハハ…ちょっと痺れました」

「何もしないなら…ベッドに座ればいいのに」

少しだけ、あたしは気を使って言っただけなの。彼は断るかと思ったのに

素直に立ち上がった。

「じゃお言葉に甘えて」

「素直な人なのね…」
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