BABY×DOLL
彼はまた笑顔で言った。

「人間、素直が一番。じゃないですか。変に遠慮して足がツラいのは嫌ですもん」

「ふふっ…確かにそうだよね」

あたしもつられて笑ってしまった。
それを見た彼が聞いた。

「もう落ち着いたみたいですね?出ますか」

「…本当に何にも聞かないのね?」

その方が有り難かったのに、そんな事を聞いてしまった。

「人に言いたくない話しは誰でもあるもんですよ?僕はそれをいちいち聞くタイプじゃないし」

「あたしが勝手に話す分には?」

「もちろんちゃんと聞きますよ。僕に話してくれるなんて光栄なことですから」

「ふぅん…ねぇ、貴方の事教えてくれない?」

彼の事を何も知らないのはフェアじゃない。あたしは彼を疑っているし、今後また関わりを持つかもしれない…

深く知り合わない程度に…彼の素性を少しでも知りたいと思った。

「僕の事?」

彼は驚いていた。
そんな彼の反応なんか無視して、あたしは色々質問した。

「年とか、住んでる街はドコか、とか…大体あたし貴方の名前すら知らないし」

「そうでしたっけ!」

「そうよ、携帯のアドレスには'駅員'で登録したし」

「あははは!僕は『鷺沼裕也』です」
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