BABY×DOLL
「さぎ…ぬま?」

「そう。ちょっと難しい漢字ですけどね。それよりも僕の携帯電話なんか登録したんですか?」

「そうよ。…鷺沼さんにはあたしの情報握られてるものね」

「あぁ…そう言われてみるとそうですね。こんな男は信用出来なさそうって感じですか」

「そ、そんなんじゃないけど」

多少考えていた事を言われて慌てて答えた。

「別に構いませんよ。僕がキミでも、そう思うだろうし。…えぇと年は23。住所もアパートの部屋番号まで教えますよ」

「…一応聞いておくわ」

「中森さんは、僕が情報を誰かに売るかもしれないって考えてるんですか?」

「一番の理由は…それね」

「何なら僕の家に来て何日でも監視しててもいいですよ!」

「…え?!」

あたしは一瞬本気かと思って驚いた。
──彼がまた笑う。

「冗談ですよ。中森さんは、彼が初めての彼氏だったんですね」

そう言われてドキリとした。

「…聞かないんじゃなかったの?」

「すみません、つい。反応があまりにも慣れてなさそうだったものですから」

あたしは彼にバカにされた気がしてカチンときた。

「そうよ!あたしの初めての彼氏だったの!初恋だったわ!何かおかしい?」
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