BABY×DOLL
「別におかしい話じゃないですよ」

「嘘!絶対バカにしてる!今、鷺沼さんはあたしの事『初めての彼氏にフラれて不幸な女』だって目で見てたわ!」

「そんな事ないです」

「それで今は落ち目の芸能人だし、あたしの事憐れんでるんだわ」

「ちょっと待って!今そんな話しはしてないから!」

あたしは頭に血が上っているのか…支離滅裂な事を言いだした。

こんな事を言うつもりも、言いたかった訳でもないのに…自分で自分が何を言ってるのかわからない程、興奮していた。

「所詮、才能もカリスマ性もなかったのよ!事務所の力であたしは売れてきた!

あれだけのゴシップネタくらいで…半年で仕事ほされるなんてあり得ないわよ!」

「中森さん、落ち着いて!もう言わなくていいから!」

彼は立ち上がり、約束を破って興奮してるあたしに近づいて肩を掴んだ。

あたしはその手を振り払おうと暴れた。

「嘘つき!あたしに近寄らないって言ってたじゃない!」

「だけどキミが興奮してるから」

「そうやって嘘つくのね!彼の事…鷺沼さんと同じくらい疑ってれば良かった!そうすればあたしはキズつかなかったし、中絶なんてする必要もなかったのに!」

「え?」
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