BABY×DOLL
「岩村さん!」
通りかかった病室から大声が聞こえてきた。それから大きな音も。
考え事をしていた私は余計ビックリして病室へと駆け込んだ。
「岩村さん!ダメですって!」
病室では入院患者の母親らしい女性が医師に向かって殴りかかろうとしていた。
『岩村』という名を聞いて、ハッとして
わたしも彼女を抑える為に間に入った。
私ともう一人の看護師に羽交い締めされた女性は、髪を乱しながら医師に向かって怒鳴った。
「いつまで、あの子をそのままにしておくの?!アナタ達何もしないじゃない!」
「今はどうする事も出来ません」
「結局、アナタ達が無能なんじゃない!あの子を返して!」
…その叫び声に胸が痛くなる────
『あの子』とは…龍之介が行方不明になった時に具合の悪くなった赤ちゃん。
あれからまだ、眠り続けていた。
「私、あの子に付けた名前を一度も呼んであげてないのよ!?何とかしてよぉ…っ!」
そう言いながら…岩村さんは泣いていた。
「今は経過をみるしかないんです」
医師が苦し紛れに答えた。
彼女だって分かってるハズだ…だけど、そんな言葉が欲しいんじゃないと思う
「岩村さん…ゴメンなさい」
通りかかった病室から大声が聞こえてきた。それから大きな音も。
考え事をしていた私は余計ビックリして病室へと駆け込んだ。
「岩村さん!ダメですって!」
病室では入院患者の母親らしい女性が医師に向かって殴りかかろうとしていた。
『岩村』という名を聞いて、ハッとして
わたしも彼女を抑える為に間に入った。
私ともう一人の看護師に羽交い締めされた女性は、髪を乱しながら医師に向かって怒鳴った。
「いつまで、あの子をそのままにしておくの?!アナタ達何もしないじゃない!」
「今はどうする事も出来ません」
「結局、アナタ達が無能なんじゃない!あの子を返して!」
…その叫び声に胸が痛くなる────
『あの子』とは…龍之介が行方不明になった時に具合の悪くなった赤ちゃん。
あれからまだ、眠り続けていた。
「私、あの子に付けた名前を一度も呼んであげてないのよ!?何とかしてよぉ…っ!」
そう言いながら…岩村さんは泣いていた。
「今は経過をみるしかないんです」
医師が苦し紛れに答えた。
彼女だって分かってるハズだ…だけど、そんな言葉が欲しいんじゃないと思う
「岩村さん…ゴメンなさい」