BABY×DOLL
「別に森島さんの子供が憎いって事じゃないわ。私だって早く見つかればいいと思うし…

でもね、それ以上にやっぱり自分の子供の方が大事だと思うの」

「当たり前ですよ!頑張って産んだ子ですもん!自分の子を一番愛してるから…」

私をチラッと見て、岩村さんは寂しそうに言った。

「ねぇ、小西さん。美来は目を醒ますかしら。あの子に名前を呼んであげられるかしらね…ずっと愛してあげられるかしら?」

「もちろんですよ。きっと美来ちゃん目を醒ましますよ!一緒に頑張りましょう…」

それだけ言うのが精一杯で私は部屋から出ていった。


──涙が出そうだ…

岩村さんの苦しみはわかる。私にも伝わる。生まれたばかりの美来ちゃんをどれだけ大事に思ってるか

だから早く目を醒ましてほしいと思うの。

なのに、その反面自分の事ばかり考えてるなんて私、酷い人間かな…?

どうしても自分の母親と比較してしまう。


 普通で良かったの
 愛してくれるなら


与えてくれたなら…それ以上の贅沢は言わないわ

そしたら…私の人生も、もう少し違っていたかもしれない。

人並みに恋愛して、誰かを愛して。子供だって産んだりすると思う。
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