BABY×DOLL
数日、龍之介とセリカと生活してみてわかった気がするの。

これはただの仕返しってわけじゃない

きっと…私から欠落してた何かを取り戻す為に彼女達は現れたんだって

都合のいい解釈かもしれないけど、私はそうだと思いたい。

セリカは知ってる…人を愛する事

龍之介は知ってる…存在するだけで誰かに愛されてる事

私は何にも知らないから…まだ彼女達との生活は必要だわ。

そう思うからこそ、私は小林仁奈の様子は見に行こうとしなかった。

彼女だって母親なんだもの。子供の無事を願ってるし、奇跡を願っている。

多分、精神的に不安定だろうし疲れてボロボロになってる…そんな姿を見てしまえば

私は彼女が気の毒になり龍之介を返そうって思っちゃうだろうな。

だから見たくない

結局、自分勝手なんだろうね…




病院はまだまだ大騒ぎだった。
テレビでもワイドショーはずっとこのネタ。

それにうんざりしながら仕事場へ戻ろうと廊下を歩いていると

向こうから二人の男性が歩いてきた。

──森島虎之介
と、マネージャーらしき男性。

彼は毎日病院に来ていたけど、それほど長い時間ではなかった。

そして…あの態度も気になるの。
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