BABY×DOLL
「…冷静?」

セリカは怪訝な顔をして見せた。

やっぱりね。私も変だと思うわよ。

「どうして?自分の子供が居なくなったのに、落ち着いていられる?」

「私に聞かれたってわかんないわよ。でも私だったら倒れちゃうわね」

「虎之介って、そんなに冷たい人じゃないと思うんだけど…」

セリカは何かを思い出そうとしていたようだ。

でもね、セリカ?
貴女があんな風にフラれたって事を考えると虎之介って男は

貴女が知っているような男じゃないかもよ?

本当の彼の素顔は、冷酷で嘘も平気でつけるような自分勝手な男なのかも!



…なんてセリカには言えないけど。
少なくとも私が彼に対して抱いているイメージはこんな感じ。

「ゴメンね、琉嘉。悪いけど彼の様子また教えてね」

「…いいわよ。これがセリカにとっての『仕返し』だものね」

「ありがと」

本当は自分の目で見て確かめたいのだろう。彼らがどう思うのか…
苦しむ様子が見たいんじゃない。

彼らが何を感じ何を学ぶのかって事────

「ね…仁奈ちゃんはどうしてる?」

「見てないの」

「見てない?まだ病院に入院してるんでしょ?」
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