BABY×DOLL
「入院してるけど…部屋に閉じ籠ってるらしいし」

「で?」

「…わざわざ見に行くような事はしてない」

「そっか…」

「ゴメンね。私、しばらく見に行きたくないの。彼女は母親だし…どんな状態か、どんな心境か予想できるでしょ?」

「うん…」

「私、多分そんなの見ちゃったら龍之介を返したくなるから」

「うん。わかった。そうだよね、あたしもそう思う」

私達は『彼への仕返し』だけを見ていて、周りのものを見ないようにしていた。

逃げかな?

私達だってキズつくのが怖いんだ。

だけど私達のワガママを叶える為に、必要だったこと。






───翌日も仕事。
私は気持ちを切り替えて出勤した。

二人のせいで相変わらず寝不足だったんだけど。

さすがに連日の寝不足は身体がキツイ…。でも周りにバレないように、疑われないように気を張っていなきゃならなかった。

そして正己は今日も病院には姿を見せなかった。




「じゃ私帰りますね」

「お疲れさま」

…今日は何もなかった。そういう日が珍しい気がしてホッとしながら着替えていた。

外に出て携帯をチェックすると、
数件の着信があるのに気づいた。
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