BABY×DOLL
『でも記者の人に囲まれて何か聞かれたり、追いかけられたりしてないかい?』

「平気だって。犯人じゃないんだし、悪い事してないんだから」

『そう?ならいいんだけど…』

テレビの見すぎだって!心配性だなぁ!

そう思ったけど…ホントの事を知ったら──おばぁちゃん悲しむだろうな。

考えると胸が痛い。

だけどすぐに考えない事にした。

「ねぇ、それよりも…お母さんから連絡きたの?」

『あ…』

おばぁちゃんが一瞬、言葉をつまらせた。

「私の携帯教えたの?」

『ごめんね…でも一応はお前の母親だから…'連絡したい'って言われて断れなかったのよ』

確かに私が文句言える訳ない。最初からおばぁちゃんにそう言っておいた訳でもないし…

ただ、あの会話にムカついただけだ。

とりあえず『金を貸せ』的な連絡がなかった事がわかって安心した。

「…うん。仕方ないね。その後は?連絡きた?」

『一度しかきてないよ。どうして?琉嘉、あの子の連絡先聞かなかったのかい?』

「必要ないもん」

『聞かなかったの?!教えるからすぐに会いに行きなさい!』

「?どうしてよ」

『あの子…お母さん乳ガンで入院してるのよ!』
< 280 / 408 >

この作品をシェア

pagetop