BABY×DOLL
「は?に、乳ガン?」

私は耳を疑った。
聞き間違えかと思って、おばぁちゃんに聞き返す。

「今、'乳ガン'って言った?」

『そうよ!琉嘉にも連絡いっていて、あの子の所に行ってるものだと思ってたのに!』

「し…知らない…わ」

『てっきり私は琉嘉が先に見舞いに行ってて、後で連絡くれると思ってたのよ』

「…おばぁちゃんは?行かないの?」

話しながら、私はうわの空だった。

あの人が?
乳ガン?本当なの?

『私は東京はわからないから琉嘉に連れて行ってもらおうと思っていたの』

「──今どういう状態なの?病気の進行具合について何か言ってた?」

『詳しくはわからないわ。琉嘉が行って聞いてきた方がわかると思ってたし』


本当の事なの?
乳ガンで入院?
だから、金を貸せって言ってきたの?










───あの人
    死ぬの…?




母親から、かかってきた着信履歴は残っていた。

すぐにでも電話をかけて、どういう事なのか聞き出したかったけど

…すぐに気持ちは冷めた。

嘘かもしれない。
疑う気持ちがバリアとなって

私を警戒させる。

「私…会いになんか行かないわよ」
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