BABY×DOLL
「言ってたじゃない!あたしには仕事がないって。だったら少し自由にしててもいいじゃないの」

『…ふぅ。ワガママもいい加減にしなさいよ?'仕事がない'ですって!?だったら努力しなさい』

彼女の上から目線の物言いにあたしはさらにムカつく。

「事務所で仕事取ってくるもんでしょ?なんであたしが努力するのよ!あたしは〈中森セリカ〉なのよ!」

あたしにはプライドがあった。

今まで売れてきた事。

それによって今の地位や知名度があるって事。

何にも努力してなかったワケじゃない。頑張って歌を作ってきたし、生き残る為に何だってした。

それをなんで?
まるで努力してないかのように言われなくちゃならないの?





『〈中森セリカ〉が何だって言うの?だったら引退してみなさいよ。世の中に出て貴女に何が出来ると思うの?』

「なっ…何よそれ!」

『外に出れば貴女に何の価値があると思う?──思い上がるのもいい加減にして。自分が何故、芸能活動していられるか考えなさい』

「…!」

『とにかく今ドコにいるのか言っ…』



  ───プッ…



あたしは遠藤さんが話し終わる前に一方的に電話を切った。
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