BABY×DOLL
あたしはたいして時間を置かずに、今一緒に共演させてもらった藤田さんや、その他の人達の楽屋へ行った。

「中森です!今日はありがとうございました!」

そしてちゃんとお礼を言う。

「いえいえ、こちらこそありがとうございます。セリカちゃんはしっかりしてるね?また出てほしいな」

「ありがとうございます!ぜひ呼んでください!」

そう愛想よく答えて彼らの楽屋をあとにし、ようやく自分の楽屋へと戻った。

衣装を脱いで私服に着替えた所で、マネージャーが入ってきた。

「セリカ!着替えたの?みんなへの挨拶は行った?!」

「行ったよ!心配しなくていいわよ、遠藤さん!」

「そう、ならよかった。ちゃんと愛想よくした?こういう挨拶とかが大事なんだからね」

─毎回これだ。

この業界は上の人を立てるというか…そういうのが大事なんだと、いつもしつこく言われ続けていた。

上に可愛がられなきゃ生き残れないってね。

もちろんこの世界で生きていくつもりだもの。ちゃんとやるよ?だからって上に媚びるような真似はしないし。

最後はやっぱり実力なんだと、自分だけが頼りなんだと思っていた。

遠藤さんが言った。

「次はラジオだから!」
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