BABY×DOLL
「朝だよ!ご飯買ってきたから食べないか?」

鷺沼さんの声で目が覚めて眩しいのを我慢して、なんとか目を開けた。

「おはよう…今何時…?」

「9時。ホラ、龍之介も早く起きろって顔してるぞ」

横を見ると、龍之介が大きな目であたしを見ていた。
それが可愛くて、あたしは笑顔になる。

「おはよう!龍…」

あたしが声をかけると、龍之介が笑った。

それだけで幸せな気持ちになれる。
僅かな時間だけど、大切にしたかった。

「ねぇ、琉嘉は?帰ってきた?」

「いや。やっぱりそのまま仕事に行ったんじゃないか?」

「そっかぁ…琉嘉はまだ怒ってると思う?」

「多分、平気なんじゃないかな。あの子あんまり長々と怒らないじゃない?案外サッパリした人だよな」

「うん、そうだよね」

「心配ならメールでもしておけば?」

「メール?んー…いいや。ちゃんと謝りたいし、せめて電話で謝りたいな」

「その方がいいかもな」

あたしがいつもワガママばかり言ってるから、琉嘉を困らせてばかりだったし…

直接、話しがしたかったから仕事が終わる頃、電話しようと思っていたのに


───昼の少し前、
思いがけず琉嘉から電話がかかってきた…。
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