BABY×DOLL
彼女にそう言われても、なかなか頭を上げることはできなかった。

「セリカさん、話しがしたいんです。頭を上げて…ソファに座ってくれませんか」

何回かそう言われてあたしは、これ以上は悪いと思って
ゆっくりと頭を上げた。

彼女は龍之介の隣に座り、あたしは反対側のソファに座った。

でも、彼女の顔がなかなか見れなくて居心地が悪い。

「本当にごめんなさい。許してもらえるとは思ってないけれど…」

「セリカさん、謝らなきゃならないのは私の方かもしれません」

「え?」

そう言われて、驚いてあたしは彼女をちゃんと見た。

彼女はあたしの目を真っ直ぐ見てる…

「虎之介さんから聞きました。セリカさん、彼の子供を…堕ろしたそうですね」

「…あ…」

「私が龍之介を妊娠したからですね…すみませんでした」

「で、でもそれは貴女が謝る事ではないわ。虎之介…さんが貴女と龍之介を選んだって事だもの」

「そのせいで…こんな事件を起こさせてしまったってことなんですよね?」

「確かにそうだけども…それは大人になれなかったあたしが悪いのよ。そんな風に仕返しするべきではなかったと…」

「いえ、やっぱり私が悪いんだと思います」
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