BABY×DOLL
あたしや、虎之介や、仁奈ちゃんの──それぞれの考えやワガママで招いた結果がこれだったの…?

何が正しかったとか分からないし、今考えても選べない。

「いいの、仁奈ちゃん…あたしだって、こんな事情なんて知らずに龍之介を連れ出したから、お互い様なのかもしれない」

「私一人が我慢すれば良かったんです!そうすれば…セリカさんの赤ちゃんは生まれてこれたのに!」

…何か違う気がする。
それならあたしが我慢すればおさまった事でもあるのよ?

「ん…ぁ…ぅ…」

突然、龍之介の声が聞こえてきた。

「あ、ゴメンね龍。うるさかったね」

目を覚ました龍之介に仁奈ちゃんが駆け寄る。

それを見て──あたしは思った。




「あたしの赤ちゃんが生まれてこれなかった分…龍之介が誕生できた…全部、龍之介の為だったのかもしれない…」

「セリカさん…」

龍之介を守る為

龍之介に出会う為

琉嘉に出会い
二人で何かを学ぶ為に

龍之介は生かされた…


そう思いたい。

結果論に過ぎないけれど、そうしなきゃ誰も報われない…。

彼女は龍之介を抱き上げ、あたしの方へ近寄ってきた。

「セリカさん、抱いてあげてください」
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