BABY×DOLL
「えぇっ…そんな…嬉しいです!」

そう言って喜ぶ彼女を見てると、あたしまで嬉しくなったり少し照れたりしちゃう。

その時、遠藤さんがあたしを呼んだ。

「セリカ!始めるわよ」

「あ、ハーイ!」

「打ち合わせですか?」

「そうなの。ゴメンね」

「こちらこそ、すいませんでした!失礼します」

そして彼女は慌てて廊下を走って去っていった。

彼女も…仕事中だったんじゃないの?

それなのに声をかけてくれたのが嬉しかった。

──こんな子もいるんだ。

いつも周りは敵ばかりな気がしていたけど、虎之介や仁奈ちゃんみたいな人もいる…

気づく事が出来る自分の変化。

他人を少しだけ見る余裕ができていた。

「セリカ!」

「はーい!」

何度も呼ぶ遠藤さんにムカつく事もなく
あたしは仕事に戻った。






「…でね彼女、次のライブに来てくれるらしいの。今までそんなのなかったから少し嬉しくて」

『ふーん…良かったじゃん』

あたしは夜の電話で早速、彼女の話しをした。

結構浮かれていたらしい…あたしよっぽど嬉しかったんだ?

「ね、仁奈ちゃんってさ…」

『小林さんの話しよりさ…今、出かけられる?』
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