BABY×DOLL
虎からの電話だ!

あたしはドキドキする間もなく慌てて電話に出た。

「も、もしもし!虎?!」

『うん、セリカ?もう仕事終わった?』

いつもと変わらない声。どんなに離れていたって、近くにいるような気がするね。

ホッとする…

「今日はライブだったの。でも疲れちゃって打ち上げ出ないで帰ってきちゃった」

『あ、そうだったんだ!疲れてるなら電話切ろうか?』

「やだ!」

『言うと思った!オレも切りたくないよ!』

電話の向こうで虎の笑い声が聞こえる。

ずっとずっと
彼の笑い声を聞いていたい───

あたしは電話を持つ手に力を入れた。

「虎…あたしね」

『うん?どした』

「あたし…虎と付き合ってる事、公表したい…」



…少しの沈黙。



『会社に?それとも…マスコミに?』

「日本中に。もう隠していたくないの」

『だけど公表できなかったのは仕方ないだろ?オレ達は普通の人と違うんだからさ』

「だけど悪い事してるワケじゃないし…あたしは虎が好きなんだって、みんなに胸を張って言いたいよ!」

『わかってるよ…オレだっていつか、ちゃんと公表するつもりだったし』

「じゃ…!」

『でも今はダメだ』
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