さよならの向こう側
「七海?大丈夫?」
夕貴が心配してくれてる。
「うん。あっ、ごめん。先教室戻っといて。」
笑顔を作ってそう言うと、足が勝手に屋上へ向かった。
『立ち入り禁止』の看板をまたいで、階段を上る。
一人になりたいときは、いつもここに来てた。
「…アメリカかぁ…」
壁にもたれて空を見上げたら、涙がこぼれてきた。
「アメリカがどうかしたのか?」
え?
聞き覚えのある声に、涙が止まった。
ニョキッと影から現れた長身は春樹だ。
「何でいるの?」
「サボり。」
此処でほかの人間を見たのは初めてだ。
しかもよりによって春樹とは…