Desire of cherry blossoms

誰が歩いてくる………。涙で視界が霞んでよくわからない。


「おい」
「…………ゼﾌｧさん？」
「俺はこれから任務に出る。もうここへは戻らない。……もしイｾﾙﾅに会ったら……、『あの場所へ来い』って伝えてくれ。それだけ言えばあいつはわかる」
「…………おねぇさんはもう…」
「イｾﾙﾅは生きてる………。だから大丈夫だ」


ゼﾌｧさんは優しく微笑みながら私の頭を撫でてそう言った。


「ゼﾌｧ！もう行かないと奴等が来る！」
「あぁ………。じゃあなチﾋﾞ頼んだぞ」



もうここへは戻らない………。ゼﾌｧさんはそう言った。

翌日の電光掲示板には、ゼﾌｧさんとチｬﾗい工作員の人が反逆罪で抹消対象となった事が掲示された。



あたしの身の回りにいた人はシｭﾗｲｸさん以外みんないなくなった。シｭﾗｲｸさんはアﾝｻﾞｯｸさんの後を継いで第8部隊の総括になった。この一連の出来事があってから人が変わったように一切笑顔を見せなくなった。笑っていられる状況ではないけど………。それでもやっぱり寂しかった。