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「薺菜ァ!!」

翌日教室に入るなり菜々子が抱きついてきた。

「お…おはよ、菜々子」
「薺菜、大丈夫だった?怪我はない?襲われたって聞いて心配したんだから!!」

どうやら昨日の事が耳に入ったらしい。災難なのはあのモンスターだよね。あの人まだ男かな。

「うん、雨森君が助け…あ、そうだった」
「おっと?」
「菜々子に話したい事があったの」

私はこの2日間であった事、小日向君、緋山君、雨森君の事を話した。

「その中で、気になる人はいた?」
「へ?」
「私その3人に訊かれて、薺菜の事話したのよ」
「ふうん?なんで私の事訊くのかな」
「気になるからでしょ」
「……あぁ、友達になりたいって事か」
「ハズレではないけど」

菜々子は何故か憐れむような目を向けた。何か私、マズい事言ったかな。

「皆優しくてね、いい友達になれそうなんだ」
「おっ、脱モンスターなるか?」
「キラキラ嫌いは克服できるかも」
「私も協力するから、頼りなさいよ」
「それは心強い」

それから顔を見合わせて笑った。菜々子の笑顔が、あの時の橘君と被る。

今回は、大丈夫。菜々子もいるし、きっと克服してみせる。

そして、克服したら橘君に会いたい。会って伝えなきゃいけない事がある。

ごめんね、ありがとう。
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