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「今数学を消化中。先生も宿題?」
「うん。はかどってる?」
「そう見える?」
「……教えようか」
「ありがとっ」

そういえば、緋山君って菜々子にも勉強教えてたんだよね。

菜々子は子供の頃体が弱くて小学1年生を2回やったらしい。だから18歳で私達と同じ高2。

小1の時に同じクラスで、頭の良さを見込まれて緋山君は休みがちな菜々子に勉強を教えていたそうだ。

今では凄く元気だし、考えてみると敬語を使った事はない。本人が気にしてないからいいんだけど。

「先生の名前も素敵だよね」
「…そう、かな。紅葉なんて女っぽいよ」
「モミジの花言葉知ってる?」
「紅葉って、花だっけ?」
「木にも花言葉はあるよ」

紅葉はあのメープルシロップのとれる木。カナダの国旗にもなっている有名な木。

「遠慮。非凡な才能。ふふ、先生にぴったりすぎる」
「笑ったな」
「あとは、大切な思い出。ね?素敵でしょ」

葉に残った糖分が赤い色素に変わってあの綺麗な紅葉になる。

甘いので赤くなるなんて、紅葉も恋する乙女みたい。

「すぐに赤くなる先生にもそっくり」

そう言ったそばから緋山君は顔を赤らめた。
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