hiding

summer love

「ねぇ薺菜。夏祭り行くでしょ」
「あ…えっと、いつだっけ」
「やだ、明日だってば。もう葵と紅葉君と雨森は誘ってあるわ」

あぁそうだ、去年はモンスターと一緒に行ったな。菜々子とダブルデートで。

「楠本さんは?」
「水木さん5時になんないと仕事終わんないのよ」

楠本ミズキさん。26歳で公務員の菜々子の彼氏さん。優しくて格好いい大人。

「デートの邪魔しちゃわないかな」
「大丈夫よ。それより薺菜、浴衣よね?」
「私、動き回れるように…」
「もちろん浴衣よね?」
「……夜だけなら」
「今年こそは薺菜の浴衣姿見れるわ」

菜々子はにっこり笑ったのだけど。

浴衣、ねぇ。好きなんだけど、髪も上げるしなんか落ち着かない。ラフな方が私らしい。

「私、着付け出来ないよ」
「一緒に私のママにやってもらうわ」
「じゃあ、よろしくお願いしますっ」

菜々子のお母さんの春菜さんは菜々子にそっくりで美人さん。気さくで私によくしてくれて、とても良い人だ。

「明日、私と葵は部活だから、先に遊んでて。お昼過ぎには行くわ」
「うん…」

緋山君と紫陽君の組合せは、すごく不安。だけど、皆で遊ぶのは新鮮で、楽しそうだと思った。
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