hiding
ほら、なんかお姉さん達が引いてるよ。物凄い顔で私達を……いや、私を凝視してるよ。

「そんなに見つめられても…」
「ちっ違うからぁ」
「顔赤くしてんじゃねえしー」

調子狂うわーとか言いながらお姉さん達は去っていった。

「でかした薺菜」
「佐倉よくやったな」
「あ…ありがとう、私を庇ってくれて」

まだ私を挟んだままの2人に笑いかけた。

「で、その…暑いんだけど」

緋山君は、ごめんと小さく呟いて頬を赤らめながら手を離した。

紫陽君は、脱げば?と言いながら私を更に引き寄せた。

「なんなら俺が脱がしてや…グハッ」

今にもボタンを外されそうなので、グーで殴ってやった。

「次は手加減しないから」

私が笑顔でそう告げると、そういやこいつ強かったよな、とかブツブツ言って紫陽君はやっと手を離した。

「薺菜ー!!」

威勢の良い声がして、振り返ると菜々子と葵君がいた。

菜々子はヒールを履いているから葵君よりも遥かに背が高くなっていて、葵君は少しバツの悪い顔をしていた。
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