hiding
「肝試しやろうよ」

菜々子が言い出して、菜々子は楠本さんと、私は3人と一緒にやる事になった。

私達の定番のルートで、お寺に入ってお墓の脇を抜けて、林を抜けてゴールの土手に行く。

「お先ー」と菜々子はさっさと行ってしまった。

「緋山。お前頭良いから先に行けよ」
「え、小日向が行ってよ。バスケ部だろ」
「雨森が行けよ。お前不良じゃん」

3人が意味のわからないなすりつけ合いをしていたので、

「私が先頭歩くから!!」

言ってしまった。

日は落ちていて辺りは結構暗い。私だって、怖いのは苦手なんだけど。

恐怖のせいでかなり早足になっている事に気付かなかった。お墓の脇を半べそかきながら抜けると、

「あ……れ…?」

3人の姿がない。

嘘。やだ、私独り!?

とうとう本気で涙が出た。とにかく、戻らなきゃ。

しかし。いくら歩いてもさっきの場所に戻らない。迷った?いや、まさか。


「ぐすんぐすん…うっ…」

10分後、私は一歩も動けなくなってうずくまって泣いていた。

「ぐすん……ここどこなの…」

ケータイの電波が遠くてメールも電話も出来なかった。
< 34 / 67 >

この作品をシェア

pagetop