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ケータイがメールの着信を知らせる。菜々子からだった。

私が学校に行かなくなって5日。連絡もなし。本当の引きこもり。そりゃあ心配するよね。

ごめんね、菜々子。でも私、見てるのが辛いの。愛されてる人が、羨ましい。

それに私の頬は打たれて赤く腫れていて酷い顔になってるから、皆に会いづらいよ。

まあ、学校に行かないから母に打たれるのは当然だと思う。

でも、お父さんが心配して色々してくれているから生きてはいるんだよ。

本当にごめんね、菜々子。私なんかの為に心配したら駄目だよ。

ケータイが次々にメールの着信を知らせた。葵君、紫陽君、緋山君。どれも私を心配してくれている内容。

私は液晶画面を睨みつけた。ああ、でも失敗した。涙が零れた。

もう、止めて、お願い。何でそんなに優しくするの。皆に会いたくなっちゃうよ。

私の事は、忘れて。

送信完了の文字を見届けて、携帯を閉じた音が、静かな部屋にやけに響いた。
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