hiding

escape

「もしもし私よ。薺菜、今部屋にいる?」
「…うん」
「外、見てみて」

布団から這い出てレースのカーテンを少し捲って2階から外を見た。

2つの意味で目が眩む。

1つは、久々の日差しだったから。ますます太陽が苦手になりそうだ。

もう1つは、

「「薺菜ー!!」」

私の大好きなキラキラした友達が、手を振っていた。

どうか私を、連れ去って。私が造り上げた檻を壊して、私を引っ張り出して。

傷だらけの、酷い顔した私を、優しく包んで。…私を、愛して。

夢でもいいから覚めないで。ずっと見ていたいから。

ガタガタと音がしたかと思ったら、バルコニーに登ってきた男子が3人。なにやら怪しい道具で施錠を外した。

「「迎えに来たよ、お姫様」」

王子様みたいにキラキラした人達だな。本当、無駄に格好いいんだから。

「お手をどうぞ、…お姫様」

紫陽君が跪いて差し出した手を素直に取った。

私は部屋着のままで、窓から外に飛び出した。またなにやら怪しい道具で2階から降り立った。
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