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ゴンドラを降りると菜々子から電話が。

『あ、薺菜?あたし達先帰ってるね』
「…なんですと?」
『…俺、部活あるし…、僕は勉きょ…、俺バイトー…、おい、人が話してる時に入ってくるな!!…』
「…切るよ」

事の経緯を蓮君に説明すると、

「はぁぁ…何だったんだよあいつら」
「ははは…」

ご苦労様です。



帰って来て、部屋で思い出していた観覧車での蓮君の言葉。

「俺の事、母ちゃんだと思ってもいいんだからな」
「うん」

「子守歌だって歌うぞ。♪~」
「………音痴」

彼なりの愛情。彼なりの優しさ。ちょっと不器用な心遣いも調子外れの子守歌も、全部嬉しかった。

私は傷を背負っているかもしれないけど、消えない傷かもしれないけど。

それごと私を愛してくれる人達がいるんだから。傷さえ誇りに思えるの。

「ありがとう…」

天井に、呟いた。
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