hiding
数秒後、紫陽君に助けられて私は意識を取り戻した。

「なんでプールで溺れるかな。いくらチビでも充分足つくだろ」
「う…」
「全く…救助した第1号が薺菜かよ」
「うぅ…」

悔しい。確かにプールは浅かった。でも不意の事だから息止める暇なんてなかった!!

「てゆうか、びしょ濡れじゃん!!どうすんのさ!!」
「悪い悪い。1人じゃ心許ないから、薺菜をお守りにして巻き込んだ」
「はぁ。しんみりお別れするのかと思ったのに」
「はは、俺らには似合わねー」
「…そうだね」

私達はいつもみたいに笑った。

「紫陽君」
「んー?」
「ありがとうね」
「…おう」

こうして笑い合えるのも、毎日は出来ないけど。会いたくなったら、いつでも会いに行ってもいいよね。

タオルで水分を出来るだけ吸い取って、私達は皆のいる屋上に戻った。
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