hiding
宿題が終わって緋山君は私を送ると言ってくれたんだけど、用事があるからと断ってしまった。

用事があるのは本当だが、2日連続でキラキラ人間と帰るのはキツいものがある。

もうすぐ5月28日、菜々子の誕生日だった。毎年手作りのケーキをプレゼントしている。今年はどんなのを作ろうか。

今年はチーズケーキにしようと決めて、近所のスーパーに行く事にした。

あれ、迷った?知らない道に来てしまった。どうやら曲がる所を間違えたらしい。日も落ちてきたし人気もない細い道だし、早く引き返そう。くるりと踵を返すと。

「こんな所に1人で何してんの」
「暇なら俺達と遊ぼうよ」

絡まれてしまった。20歳くらいの男が2人。片方は綺麗な顔だがもう片方は上等なモンスターだ。目がチカチカする。

「わ、私、迷っちゃったんです」
「それなら俺達が案内してやるよ」
「本当ですか?ありがとうございます」

ところが美形とモンスターは私を知らない道の方に導こうとした。

「あの…こっちじゃないです…」
「いいからこっち来いよ!!」

モンスターが実力公使に出たので私は迷わず金的を蹴り上げた。身悶えして倒れるモンスター。私は逃げようと駆け出すが美形に腕を掴まれてしまった。

「なんのつもりですか」
「馬鹿な嬢ちゃんだな」

私は路上に押し倒された。キラキラした顔が近づいてくる。うっ、眩しっ。

頭突きでもしてやろうと首に力を入れた時。美形が呻き声を発して横に吹き飛んだ。

「今のうちに逃げるぞ」

目をぱちくりしていると、その人が私の手を掴んで走り出した。
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