青蝶夢 *Ⅰ*
「ヒイロ、これで・・・」

「疲れたぁ~」

伊吹さんの声を遮(さえぎ)る
のは、芳野さんの声。

「なあ、ちょっと
 そこで、休まないか
 煙草吸っていい?」

「ああ」

人通りの少ない方へ移動した
芳野は、荷物を足元に置いて
煙草を銜え、言う。

「のど、渇かないか?」

「そうだな、どこか入るか?」

辺りを見渡すが、この辺りは
お茶を飲めるような場所は
見当たらない。

「移動するか?」

煙草に火が付いている事を
揺らして、伊吹に知らせる
芳野。

「ああ
 吸い終わってからにしよう」
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