青蝶夢 *Ⅰ*
「・・・
 疲れたろう?
 お前は、休んでろ」

「だって、じゃあ
 俺行くわ」

伊吹さんの部屋の前に立つ私。

今度は、玄関へと向かう
芳野さんを見つめる。

玄関のドア

部屋のドア

ふたつのドアは

同時に開く。

私の前に、伊吹さんが立つ。

「そうだ、ヒイロ
 今夜は、何か
 外に食べに行こう
 
 二人で」

「はい」

玄関のドアが閉まる。

今夜、貴方は

戻って来ないの?

『今晩も
 寄せてもらうから
 鍵、かけんなよ』

「どうした?ヒイロ」

「何でもないよ」
 
何でもない・・・
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