青蝶夢 *Ⅰ*
悲しい瞳で、貴方は
私に、問いかけた。

「ヒイロ、お前はまた
 つらい想いをする
 
 それでも、ヨシノが
 好きなのか?」

私は、伊吹さんに背を向けて
芳野さんの腕の中で頷く。

そして、自分の想いを告げる。

「私は、ヨシノが好き」

私は、両腕に精一杯の
力を込めて、芳野さんを
抱きしめた。

「もう
 俺は何も言わない」

抱き合う私と芳野さんの姿を
見た伊吹さんは、そう言った
後、自分の部屋へと向かった

「イブキさん・・・」

部屋の前、ドアノブを
握り締めながら伊吹さんは
芳野さんに声をかけた。

「ヨシノ
 俺は、ヒイロを
 泣かせたくない・・・」
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