青蝶夢 *Ⅰ*
「お前が、この家から
 居なくなると
 ヒイロが悲しむ
 
 だから
 さっきの言葉は忘れろ
 
 ここに居ろ

 最後に
 俺の部屋が嫌なら
 リビングで寝ろ」

そう言って、笑ってみせる
伊吹さんに、芳野さんは言う。

「リビング
 上等じゃん」

伊吹さんの部屋のドアが
静かに閉まる。

貴方は、切れた口元に
指先で触れる。

私も、そっと指先で
触れてみた。

「ヨシノさん
 まだ、痛みますか?
 冷やした方が・・・」

「いい
 ・・・・・・
 ヨシノで、いい」
< 161 / 434 >

この作品をシェア

pagetop