青蝶夢 *Ⅰ*
疲れた顔をして、夕食を取る
伊吹さんを、私は知らず知らず
に、見つめ続けていた。

「何、何かついてるか?」

唇を手のひらで拭う、伊吹さん

「いえっ、何もついてません
 仕事、大変そうですね?」

「ああ、設計を少し見直したい
 ってクライアントの要望で
 大変な事態さ・・・
 
 この仕事が一段落するまで
 もう少し、こんな状況が
 続くかもしれないがごめんな
 
 家の事、お前に任せきりで
 バイトもあるのに・・・」

「いえっ
 私の事は気にしないで下さい
 こんなものぐらいしか
 作れなくて恥ずかしいです」

食卓には、カレーとサラダが
並ぶ。

「十分だよ、おいしいよ」

「よかったぁ」

微笑み合う、二人。
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