青蝶夢 *Ⅰ*
「いや、さすがに休むのは
 ちょっとな・・・
 だから、遅れて行くことに
 したよ」

彼女は、また以前のように
少し不機嫌な表情を浮かべた。

「本当は、仕事休んで
 一日中、一緒に
 居て欲しかったんだけどな」

「そんな我侭、言うなよ
 俺を困らせるな」

「はあ~い

 煙草、吸いたい
 イブキ灰皿ちょうだい」

私は、テーブルの上
目の前にある、灰皿を
彼女に渡した。

「あの、どうぞ」

「ありがとう」

少し手を伸ばせば取れる
距離にあるのに
彼女はそれをしない。

ただ、上から目線で
ああしろ、こうしろ
と指図をする。
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