青蝶夢 *Ⅰ*
彼女が、煙草に火をつけるのと
同時に、伊吹さんは窓を開ける

彼女は、空っぽになった
煙草のケースを丸めて
テーブルの上に置いた。

そして、新しい
煙草のケースを開ける。

テーブルの上には
置かれたままのゴミ。

彼女は、それを
捨てようともしない。

「はい、甘い珈琲
 どうぞ」

「ありがとう」

そのゴミを、伊吹さんが
集めて、ゴミ箱へ捨てた。

これが以前、芳野が話していた

『大雑把でガサツ、男
 
 そのもの・・・』

って、事なのかなぁ?

彼女は、ただ面倒な事を
人にさせているだけの
ようにみえるけれど・・・

伊吹さんは、貴女の
母親じゃない。
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