青蝶夢 *Ⅰ*
『お前がどこに行こうが
 誰と何をしようが
 別に構わない』

「大切な女?
 誰が、いつ
 そんな事、言ったぁ
 
 俺は、ヒイロの事を
 好きでも
 愛してもいない

 大切な女なんて
 この俺にはいない」

「ヨシノ、お前」

「ヒイロ、アイツはそれを
 ちゃんと分かって
 俺の傍にいるんだ

 俺が違う女をこの手に
 抱く事を、アイツは
 分かっていて、それでも
 俺の傍にいたいのさ」

「お前
 自分が言っている事
 分かっているのか?
 
 他の女も抱くが
 お前も抱いてやる
 って話かよ」

「ああ、そうだ
 当人同士がそれでいいなら
 構わないだろう」

冷酷な瞳が、伊吹を見つめる
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