青蝶夢 *Ⅰ*
伊吹は、固く拳を握り締めて
芳野に殴り掛かろうとした

その時

茅野が先に、芳野の頬を
力いっぱいに叩いた。

「ヨシノ
 いい加減にしなさいよ
 どんな馬鹿やったって
 構わない
 アンタ、一人だけが
 苦しいなら、それは
 それでしかたない

 だけど、あんなに幼い子
 を傷つけちゃいけない
 彼女の人生を
 ボロボロにする気じゃ
 ないでしょうね

 ヨシノ
 アンタにそんな資格ない

 彼女を幸せにできないの
 なら、きれいに別れて
 あげなさい
 彼女の為に・・・」

「言われなくても
 そうするさ
 
 俺、行くわ」

「ヨシノ、お前に
 何を言っても
 もう、無駄なんだな?」
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