青蝶夢 *Ⅰ*
誰か、誰でもいい

私を、この場所から
連れ出してほしい。

あの時のように・・・

「ヒイロ」

そう、私の名を呼んだのと
同時に、力強く、私を
抱きしめてくれる人がいる。

この腕の感触、貴方の温もりを
私は、知っている。

「ヒイロ
 我慢しなくていい
 泣いていい
 
 俺が隠してやるから」

貴方は、誰よりも早く
本当の私に気づいてくれる。

本当の私の想いに・・・

私は、伊吹さんの胸の中で
我慢しきれずに涙を流す。

そして苦しい胸の痛みに
耐え切れず、言葉を溢す。

「助けて

 イブキさん・・・」

私の愛が、私を苦しめる・・・

伊吹は、形振り構わずに
無我夢中で秘色を抱きしめた。

助けて・・・

その言葉が

伊吹の胸に突き刺さる。
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