青蝶夢 *Ⅰ*
『私の体は、貴方に出会う
 もっと、ずっと以前に
 穢されている
 
 その時から、私の心は
 壊れている・・・』

立ち尽くす秘色を、一人
置き去りにして走り出した
車の中で、芳野はずっと
秘色の言葉の意味を
考えていた・・・

『こんな私のことを
 誰が愛してくれるの?
 誰も愛してくれない』
 
いったい、ヒイロに何が
あったんだろう・・・?

秘色の言葉が、芳野の心を
支配する。

「長いわね、信号
 ・・・・・・
 芳野、ねぇ、聞いてる?」

「ちょっと、黙ってろよ」

いつもと雰囲気の違う芳野に
驚く女性。
 
「・・・済まない、何?」
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