青蝶夢 *Ⅰ*
「そんな、約束したか?
 面倒くせぇ」

「そうね、女好きの貴方に
 とっては、とても面倒な
 約束だったわね
 でも、貴方はその約束を
 最近まで、一度も破った
 事は無かった・・
 
 貴方は貴方が思う以上に
 あの子が好きよ」

「馬鹿言え」

閉まるドア・・・

歩き出す芳野の足は
いつの間にか駆けていた。

全速疾走で夜の街を駆ける

そして、息を切らす彼は
見てしまう。

伊吹が、秘色を抱きしめて
いる場面を・・・

その腕は、女を抱く。

愛しい女性を・・・

芳野の心の中に、ずっと
刻まれている想い・・・

それは、伊吹に出会った
あの日から、彼の心を
縛る想い。
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