青蝶夢 *Ⅰ*
伊吹さんも、芳野が笑って
入り口のドアから
帰って来るのを
今か今かと、待っていた。

芳野に、何度連絡を取っても
繋がらない携帯電話に
彼は、苛立ちさえ感じていた。

「アイツ
 電話ぐらい出ろよ」

私がいない場所で、そう呟く
伊吹さんは元気がない。

貴方が居なくなってから

私も、伊吹さんも・・・

ヨシノ・・・

貴方の事で頭の中がいっぱいで
本来の自分の姿を見失っていた

リビングのソファーで
携帯電話を手に持ち
伊吹さんは辛い表情を
浮かべている。

「・・・ただいま」

「ヒイロ、おかえり」
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